この写真の海を見て汚いとは思わないですよね。東京都江東区臨海部、潮見の護岸の様子ですが、きれいに整備されていて安全性も問題なさそうだし、住空間としても整って人気も地価も上昇中って感じです。
20年以上前からシーバス釣りで豊洲、辰巳、新木場あたりをうろついてましたが、当時は倉庫や工場でホトンドが占められた殺風景な地域でした。陸はこうして新たな目的と共に整備されて来ましたが、そこが面する海側はどう変わって来たのだろうか!?
上記の写真のところ、1990年にはどんなだったか、航空写真がありました。こんな感じだったんですね。写真真ん中運河の2つ凹んだところ右側です。
続いて1985年
1975年だとこんなに木場(笑)
で、戻って2010年代はこんな感じになってます。すっかり木場の面影無し。
もうこのあたりはさらに埋め立てるスペースもなく、基本的に地形は同じようで、新たな住空間として開発され、新しく橋が掛けられたり、京葉線が開通したりと陸側は変化して来ました。
そんな陸側の護岸でシーバス釣りを続けているからこそ、水質はずっと気になっていることですが、今や自宅前が運河の江東区某所に住む者としては、見た目ホントにきれいになったと思います。ハイ。
最も強風の日の翌日や台風一過の日はいろんなものが浮遊しておりますが、前回のブログ(よかったら後でどうぞ)で書いた通り、ゴミ拾いをしてくれる行政の方々がおられます。
意味がないと言われそうな感覚的なところでですが、やはり20年前よりは10年前、10年前より現在の方が湾奥の海はきれいになったと思います。高度成長期の公害の話で出て来るこんなイメージを知ってる年代の人間としては、ほめ過ぎがもしれないけど、きれいになったと思うのです。すんません。
とか
こんなイメージですね。多摩川のお化けハゼという奇形のハゼの写真が小学生だった僕には衝撃的でした。今のガキども、いや日本のお宝さまにとっては全く別世界の話だということなら、それはよかったなと思うのです。
90年代中頃、東京湾奥でシーバス釣りをしていて、たまに奇形のシーバスが釣れました。2010年から江東区に住み始めて釣行回数は増え、釣ったシーバスの数もそれなりに増えたのですが、全く奇形のシーバスは釣れてません。個人的な経験なので他の人に聞けばそんなシーバスが釣れたという話はあるかと思いますが、奇形のシーバスは減っていることを願いたいもんです。ちなみにシーバスってこんなサカナ。スズキのことです。
で、水質の話ですが、そんなわけで見た目はきれいなのですが、人間、透明のものはきれいだと思い込みがちだったりします…濁ってると汚く見えるし。
水質って見た目だけではわからないということで、ググってわかる範囲でどうなっているのか見て行こうと思います。で、見つけた江東区の河川水質調査経年変化の表とグラフ(1989年〜2015年)
https://www.city.koto.lg.jp/seikatsu/kankyo/7305/7307/file/keinen.pdfから拝借。
CODとBODは意味するところはほぼ一緒ですが、CODは河川ではない海域で、BODは河川での調査結果を表示します。数字が並んでますが、基準はどうなってるのかと言うと、江東区の環境(水質)基準によると、CODは8mg/L以下が望ましく、BODでは5mg/L以下が望ましいとされています。河川は流れがあるということで、水の循環も閉鎖水域よりはいいバズなのでCODより3mg低く設定されているんだと思います。
こうして並んでいる数字を見ると、CODもBODも平成の時代になって基準を超えたのは平成12年(2000年)と平成22年(2010年)だけでのようです。こういう年は暑かったんだっけ!?
江東区の環境水質基準はこちら
CODとは
単にCODという場合は、わが国では通常、硫酸酸性で過マンガン酸カリウムによって沸騰水浴(100℃)で30分間反応させた場合の消費量(CODMn)を指します。
人為的汚濁のない水域のCODはおおむね1㎎/L以下です。 利水目的によるCODは、水道用水源としては3㎎/L以下、水産用水としてはサケ、マスなどには3㎎/l以下、コイ、フナなどには5㎎/L以下、農業用水としては溶存酸素の不足による根ぐされ病の防止の点から6㎎/L以下が望ましいとされています。
水中の有機物等を酸化剤で酸化するときに消費される酸化剤(過マンガン酸カリウム)の量を酸素の量に換算したものです。汚染物質が多ければ値は高くなる。
酸化剤により有(無)機物が酸化されるときに消費される酸化剤の量を酸素量に換算したものを示します。BODとともに有機汚濁の指標としてよく用いられます。
測定方法は、試料水と過マンガン酸カリウムが入ったものを30分沸騰させて、シュウ酸ナトリウムを滴定し色の変化から過マンガン酸カリウムの消費量を測定し、それに相当する酸素量を算出する。
BODとは
水の汚染を表す指標のひとつ。好気性微生物が一定時間中に水中の有機物(汚物)を酸化・分解する際に消費する溶存酸素の量。水1リットルあたり何mgの酸素が必要かを数字で表す。密閉遮光した中で気温20度、5日間放置して測定。(ppm で示すこともある昔の事で今はほとんどない)主に川の水質を表す。生物化学的酸素要求量。
好気性微生物によって有機物が分解されるときに消費される酸素の量を示します。好気性微生物に分解できないものは測定できません。湖沼、貯水池などではプランクトン等の呼吸も影響します。最も広く使われている汚濁の指標で、BODが高いと悪臭の発生などが現れはじめます。
DOとは
DOとは、水中に溶けている酸素(O2)量のことをいいます。
水中の酸素は、水生生物の生活には不可欠なもので、魚類等の呼吸や有機物の好気性分解に使用されます。有機物による汚染が著しいほど低い値を示します。夏期で3.1〜4.1mg/リットル、冬期で1.4から3.1mg/リットルのDOが必要と言われている。
水質を判断する測定項目はこれ以外にいろいろあるのですが、
SS(懸濁物質または浮遊物質)
水中に分散している固形物で検水をろ過した時に分離される物質で粒径2mm 以下のものをいう。1リットル中に1mgこの物質が含まれる水は1mg/Lである。
T-N(総窒素)
水中に含まれる全ての窒素化合物のことです。
T-P…T-P(総リン)はリン化合物全体のことをいいます。
pH
水中生物にとって望ましいのは5.8〜8.6
気にするところはこのあたりでしょうか。
このあたりのことは掘り下げればどこまでもディープな世界かと思いますので、このブログ1記事だけで収まるもんでもないので、これをキッカケになんで荒川河口で海水浴が限定的にでも開催出来るようになったかとか、釣ったサカナも喰えなくもないということを思いめぐらしていただければ幸いでございます。
水質も上記の項目だけで判断されるわけでなく、かつてよく聞いたダイオキシン、六価クロム、カドミウムといった毒性のものに対しても基準が定められています。
赤潮とか青潮のことでもまた今度書いてみたいと思います。